毬一族
これまで”限定醸造”にひとくくりにしてきたビールを新設した5つのシリーズに体系化していく計画を昨日お知らせしました。今日はそのシリーズの一つ「毬一族(まりいちぞく)」について紹介します。
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年末28日の投稿ではベルジャン酵母を基軸に刷新する定番シリーズについて触れた。私たちが愛してやまないベルジャン酵母が織りなす複雑な味わいは、これからもこの酵母とともにビールを作り続けたいという想いを一層強くした。日々向上する醸造技術と革新が進む現代のホップが生んだクラフトムーブメントにこの酵母を合わせたことから私たちの定番シリーズは誕生した。
そして、3人の中ではこのコンセプトを定番だけにとどめておくつもりはなかった。
KBCのビールをこれまで飲んできた方にはきっと馴染みがあるビールだとおもうが、毬男と毬子はベルジャン酵母を使ったお気に入りのIPAだ。2017年の夏に初めてお目見えした毬男は当初、一意専心の”兄”いう位置づけで考案されました。毬男では世界を席巻していたSimcoe、Columbus、Chinookといったスター級のホップを使用し、それぞれが生みだす柑橘系のトロピカルな香りや松のような香りで飲む人を魅了した。さらに多くのベルジャン酵母が放つアプリコットやバナナ、パイナップルのようなニュアンスがジューシーな現代のホップの個性と見事に働き合い、他に類を見ない味わいが口いっぱいに拡がる。
毬男の登場の後に、その妹的な存在として出来た「毬子」だ。毬子は私たちが期待していたようにうまく仕上がり、ジューシーで香りよく、そして味わいに優しさまで兼ねそろえていた。華々しく登場したこれらのビールは私たちの醸造スケジュールに定期的に組み込まれるようになり、今日に至っている。そこで、考えた。現代に次々と生み出されるホップと伝統的なベルギーの酵母の融合という京都醸造が打ち出したコンセプトに沿ったものをもっと追求できるのではないか。
私たちのアイデンティティの根幹とまで評価してきた毬男と毬子。このコンセプトをとことん追求する中で、これまで数々のベルジャン酵母のホッピーなIPAが生みだされ、今では代々その家に伝わる家系図の様な出で立ちになっている。昨年にリリースした「毬蔵」 のように、私たちのハウスイーストと新しいホップの絶え間ない掛け合いはこの先もとどまることを知らずに続けられ、その度に「毬一族」にメンバーが迎え入れられることになる。2021年にボトルから缶へ移行し、このシリーズに新たに与えられたヴィジュアルイメージもまた近いうちに公表するのでご期待を。今年も毬一族の繁栄は止まらない。