「まずはビール」
「まずはビール」
これは居酒屋でのお決まりのフレーズではなく、私たちの品質至上主義を象徴する言葉です。創業時に掲げた「品質を第一に考え、継続して美味しいビールを造り続ける」という揺るぎない判断基準――それが「まずはビール」。
この言葉に従い、私たちは迷うことなく、コスト第一主義に陥ることなく、ただシンプルに、誠実に、美味しいと信じるビール造りを続けてきました。そしてそれは、これからも変わることはありません。
京都醸造のビール
「探求心 Exploration」と「技能 Craftsmanship」は、これまで私たちが大切にしてきた4つの基本的価値観のうちの2つであり、ビール造りにおける理念の礎(いしずえ)です。そして、この2つを掛け合わせることこそが、革新のきっかけになり、クラフトビールと大量生産されるビールの違いを象徴していると私たちは考えています。
私たちはよく「自分たちが飲みたいビールを造ればいい」と言ってきました。実はこれ、この業界で知り合った仲間であり師と仰ぐ人から、創業するときにかけられた言葉。世の中にはたくさん素晴らしい飲み物がありますが、ビールほど多様性に富んだ飲み物はないでしょう。色も濃いものから淡い色味のものまで、酸味を楽しむサワービールや苦みを楽しむものまで、甘くもドライにもなれる、寒く長い夜にぴったりのややヘビーで飲みごたえのあるものや、昼下がりに太陽の下で楽しむのに最適な軽やかなものまで、フルーティーであったり、スパイシーであったり、ハーバルであったりと、どんなフレーバーを思い浮かべても、そんな期待に応える味がビールにはあるのです。
ただ、日本においては、多くの人にとってビールといえば、「淡い色のラガー」だけを意味し、私たちが愛する多様なビールはまだあまり認識されていません。素晴らしいビールの世界を多くの人にしてもらいたいという熱い気持ちで、私たちはこれまでありとあらゆる種類を探求しながら造り、そしてその魅力を伝えてきました。
丹念に素材や調理法を選び抜き、それに合うワインや日本酒を丁寧にセレクトしているレストランが、大量生産されたビールを一種類だけ提供している──そんな状況が変わり、食事に合わせてビールを選ぶ、それが日常になるまで、私たちはビールの素晴らしい多様性を伝え、ワインや日本酒と同じようにそのひとときを彩るビールを造り続ける使命があると考えています。そのためには、新しい挑戦に胸を躍らせ、ビールをさらに良くしていく努力を厭わない、というのが京都醸造のビール造りへの変わらないスタンス。
私たちは、ハウス酵母であるベルギーの酵母を使い、バランス良い風味がありながらも複雑で、多様な料理と一緒に楽しめるビールを定番にしています。それだけにとどまらず、最新技術を取り入れ、海外のホップ農家やホップの業者から直接選び抜いた新鮮なホップを使用した、インパクトのあるアメリカンスタイルのIPAやたっぷりの果物の果汁を使ったサワーエールや、歴史に裏打ちされたクラシックなスタイルにインスピレーションを得たクリーンなラガー、そしてモダンなホップを使い、新しい風を吹き込んだラガーを造ったりと、ビールの幅広さを体現するような堂々たるラインナップを展開しています。そして、時を経るとともに味わいが熟成・進化するという二次発酵製法により、新鮮さだけがビールの命ではないという商品にも積極的に取り組んでいます。
クラフトビールは、10年前とはまったく違うものになっています。そしてその10年前と20年前とでは、さらに大きく異なっていました。クラフトビールは常に変化し、しかも最近になってそのスピードはどんどん加速しています。私たちはその変化を抗うのではなく、むしろ積極的に受け入れるべきだと考えています。だからこそ「変化と進化を続けること」は、私たち京都醸造のDNAそのものなのです。
良い影響を醸す正しいビール造り
人が何か行動を起こすとき、大小、内外問わず、必ず影響(インパクト)が生まれます。私たちはビール造りを行うとき、環境への負の影響は最小限に、コミュニティや人への良い影響は最大限になるように心がけています。
ビール造りは本来、負の影響として多くの廃棄物(ゴミ)を生み出すものです。なかでも、大麦麦芽から麦汁を抽出したあとのしぼりかすは、大量に発生します。
しかし私たちは、創業以来、この副産物を一度もゴミとして捨てたことはありません。すべて肥料や飼料として再利用し、資源として活かしてきました。
容器についても、クラフトビール業界ではガラスボトルが主流だった時期に、軽量でリサイクル率の高い缶への移行を決断しました。これにより、輸送時の負担が軽くなり、CO₂排出量の削減にもつながります。私たちは、ビール造りを社会の大きな循環の中で考え、可能な限り環境負荷の少ない方法を選び続けています。
ビールを飲む人に「心から美味しい!」と感じてもらえるビールを造ることは、私たちの使命です。しかし、美味しいけど飲んだ人が身体を壊すようなものでは、もちろんいけません。なので材料も真剣に、品質の高いものを選びます。
そして、誰かの犠牲の上に成り立つ美味しさは、本物ではありません。働く人にとっても健全でなければなりません。私たちはビールを造る醸造家たちの労働環境を見直し、安心して夢中でビール造りに取り組める醸造所を目指しています。