明けましておめでとうございます
2026年も皆さまにとって実り多き幸せな一年になりますように
さて、昨年の最後に、2025年を振り返る内容の記事をお届けしました(記事はこちら)。今日は、これから始まる2026年、そしてその先に私たちが見ている景色についてお話しします。
先日の記事では、商品ラインナップの更新と品質へ多くのリソースを注いできたということについて触れました。ビールを造る技術の洗練に加え、業界最先端と言える高度なテクノロジーを導入、活用してきたことで、私たちのビールは業界でも屈指の安定性を備えるまでに高めることができました。
これにより、賞味期限を長くすることができたり、一部の商品を要冷蔵ではない「常温保管」ができるようになった、ということだけでなく、ホッピーなビールはより明るく、より個性豊かに、その他の軽めのビールもよりクリアな透明感を持たせ、そして劣化によるオフフレーバーが現れるまでの時間を可能な限り長く、後ろへ押しやることが可能になりました。要するに、私たちのビールはこれまで以上に長く美味しさを保てるようになり、取り扱い易く、つまり非常に劣化しやすい繊細だったものが耐性を持ち、強くなったということです。これは、私たちが昨年注力したことが誤った判断ではなかったと大きく誇りを持っている点でもあります。
パイを大きくする
こうしたビールの進化、ブルワリーとしての進化によって、私たちは”新しい層に向けて切り拓いていけるブルワリーになった”と考えています。
これまでにも何度かお話ししてきましたが、私たちがこの業界に足を踏み入れた大きな理由のひとつが「人」でした。特に他のお酒に関する業界を含む多くのそれとは異なり、クラフトビールの世界では、皆がともに発展していけるようにアイデアや知識を共有するような素晴らしい文化を持っていました。より良いビールを造り、互いに助け合うことで、クラフトビールそのものが成長していくという考え方に驚き、感動し、10年前にこの業界に飛び込んできた私たちは今も変わらずそれを信じていますし、次の10年後も同じことが言える業界であってほしいと願っています。
また、業界が成長するためには、より多くの人にクラフトビールを飲んでもらうことが不可欠だとも感じています。アメリカではビール市場全体の売上におけるクラフトビールは約25%ですが、日本ではわずか2%程度とされています。しかもこの2%には、大手メーカーが造る”クラフト”を謳ったモダンスタイルのビールも含まれており、アメリカ市場のように「独立系ブルワリー」と明確に区別されてはいません。
つまり、日本では多くの場合、消費する側がいわゆる本当の意味でのクラフトビールをまだ一度も飲んだことがない、という現実があります(”本当の意味でのクラフトビール”とは、についてはまた別の機会に)。もしクラフトビールが、クラフトビアバーや専門店、あるいは一部の百貨店や高級スーパーでしか手に入らない存在であり続けるなら、それは一部でもてはやされる珍しい存在のままで終わり、時代の流れや消費者の嗜好の変化ひとつで立ち消えてしまうような非常に不安定なものになってしまうでしょう。だからこそ私たちは、クラフトビールがより身近に存在し、幅広い人に手に取ってもらえるように、一般的な流通チャンネルへと販路を広げていくことを、以前からの目標として掲げてきました。
現在、醸造所からほど近い京都駅構内だけを見ても、グランドキヨスクから新幹線ホームの小規模な店舗まで、私たちのビールをとり扱う場所が増えてきています。それにより他の街から京都を訪れる方や、これから外へ出かける人々にも、自然とクラフトビールが目に触れる機会が生まれているのです。
今後は、こうした動きをさらに広げ、京都を中心に、国内各地のスーパーマーケットでも手に取ってもらえる存在になりたいと考えています。
私たちの定番ビールで、昨年より容器内二次発酵によって安定性が高まり、より本来の酵母由来のキャラクターと自然発泡でここちよい炭酸感を持つようになったフラグシップセゾン「一期一会」は、その役割を担う大きな存在です。加えて、京都府下限定のベルジャンウィットの「はばかりさん」も同様の役割を果たしています。今年は、全国に向けて新たな冷暗所保管ができる定番商品を発表する計画も進めています。
これらの万能なスター選手たちを通じて、多くの人の「クラフトビールとは何か」という認識を広げるとともに、それが多様なクラフトビールの世界へと興味を誘うきっかけとなることを私たちは目指しています。

コンフォートゾーンからはみ出し続ける
前回の記事の最後で少し触れましたが、現在タップルームの改装を進めています。 長年ほとんど変わらなかったあの空間は、ありがたいことに良い評価をいただく一方で、「私たちがどんな醸造所で、何を大切にしているのか」が訪れる方に十分に伝わっていないのでは、という思いもありました。
今回のリニューアルは、その点を変えていくための第一歩です。完成は1月初旬を予定していますが、単に見た目を変えるだけではありません。体験そのものをより良いものにし、営業日数を増やすことで、より多くの方にとって足を運びやすい場所にしていきたいと考えています。
とはいえ、私たちはここで立ち止まるつもりはありません。
この2年間は、未知の領域へ踏み出す連続でしたし、2026年もまさにそうした一年になるでしょう。
3月末からは、京都市右京区にある東映太秦映画村内に、私たち自身が運営する直営店をオープンします。レストランとバーを併設したこのお店は、私たちにとって初めての本格的な飲食事業への挑戦です。
映画村は、今後3年かけて施設全体を大規模にリフォームし、これまで訪れる顧客層の中心だったファミリー層や修学旅行生に加え、大人の客層を呼び込むことを目指しています。その第一段階がこの3月に完成し、営業時間も、夜の21時までと延長され、これまでとは異なる夜の江戸時代の雰囲気を楽しめるようになります。「非日常を楽しみたい」「普段とは違う体験をしたい」という気持ちをもったさまざまな客層がこぞって訪れる魅力的な施設になることでしょう。
その多くの方は恐らくクラフトビールには馴染みがないかもしれませんが、新しいものへの興味は持ってくれるはず。だからこそ、私たちはクラフトビールを紹介する絶好の場所だと考えています。

京都在住の方にとっては、ここでの体験がクラフトビールとの関係の始まりとなり、他の場所でも探してみようと思うきっかけになるかもしれません。遠方からの旅行者であれば、「自分の地元ではどんなビールが造られているんだろう?」と考えるきっかけになることも期待しています。
これは私たちにとって、飲食の世界への最初の一歩であって、最後にするつもりはありません。京都醸造をより身近に知ってもらえ、さらにビールと食の素晴らしい組み合わせを伝えられる直営店を、いつか展開していきたいと考えています。
ブランドに合った空間づくり、スタッフの確保、料理のクオリティなど、私たちにとって初めての挑戦ですので、期待に応えられなければブランドを傷つけてしまうビジネス上のリスクや不安がないわけではありません。しかし、この激動の2年間は、未知へ飛び込み、自分たちを新しい形で試すことの大切さを教えてくれました。2026年における直営店への挑戦は、今年「なみなみと」という形で初のフェスティバルを開催したのと同じように、私たちを象徴する挑戦になるでしょう。

こうして私たちは、10年目以降の新しいフェーズへと進んでいきます。 もはやベンチャーでもスタートアップでもありませんが、彼らがもっているような”常に新しいことに取り組むという姿勢”を変えるつもりはありません。来年も多忙な一年になるでしょう。しかし、目指すべき姿ははっきりと見えています。
新たな挑戦がどんな結果をもたらすのか、不安と期待が入り混じる気持ちで前を向いています。”まずはビール”のブルワリーが、果敢に挑み続けるある種のショーに皆さま、今年もひきつづきお付き合いください!