生まれ変わる黒潮の如く

2021年、ここ京都醸造ではたくさんのことが変わりつつありますが、まず何よりも定番の各ビールのレシピ改訂です。先日投稿したブログで、私たちの代表的なセゾン、一期一会の変更について詳しく述べました。続いて、一意専心について説明しました。今回はベルジャンスタウト、黒潮の如くについての変化を見ていきましょう。。。

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京都醸造と黒潮の如く

日本では黒ビールが敬遠されています。みんな存在は知っていても、ほとんどの人が想像する味への先入観から避けようとします。黒いビールはすべて「黒ビール」と一括りにされ、過度に一般化された、「黒ビールは苦手」、と言うセリフを何度聞いたことでしょう。

こういった傾向から、年間のラインナップにスタウトを入れるのはかなり不安でしたが、Tiny Rebelとのコラボ「双截龍」を経て、私たちのベルギー酵母で造る黒ビールは他と一線を画すことに気付きました。コラボでの学びをふまえ、黒潮の如くが生まれました。アルコール度数5.0 %のベルジャン・スタウトで、イギリスのオートミールスタウトを少しベースにしました。酵母由来のフルーツのようなフレーバーは、みんなが想像する濃色麦芽の特徴と相まって、黒ビールに対する認識を改めさせるようなスタウトを生み出すことができました。

なぜ変えるか

黒潮の味わいも、黒ビールのイメージを変えるようなビールになったことにも満足でしたが、時が経つにつれ、アルコール5.0 %の“飲みやすい黒”という位置づけを守るために、“ふつうの”スタウトに寄りすぎていると感じ始めました。双截龍の高いアルコール度数が生み出す豊かなボディとフレーバーはなく、年間のラインナップでの位置づけを考えたときに、これらを犠牲にしてまでアルコール度数をおさえるのは本当にベストなのか疑問に感じ始めました。そのため、新しくなった黒潮はそのルーツに一歩近づき、濃厚で味わい深いビールという位置づけを目指します。

どう変わったのか

そのために、まず麦芽の量を増やしてアルコール度数を5.0 %から6.0 %に上げました。ボディを高めるためにカラピルスモルトを少量加えることでボディがうすく感じ過ぎるのを防ぎ、ダーククリスタルモルトの種類を変えてダークフルーツっぽさを増しました。ロースト麦芽の種類は3種類から2種類へとシンプルにし、ロースト香やフレーバーを抑えました。

まとめ

こうした変更やその最終製品への影響をイメージするのは、定番の中で黒潮が一番苦労しました。複数のクリスタルモルトやダークモルトを加えることで味わいに奥行きを出し、グッと複雑にしつつも、「黒ビールのイメージを変えるスタウト」、という持ち味は変えたくなかったのです。今後数か月で細かい調整が必要になるかもしれませんが、黒潮を飲みごたえのあるビールという位置付けにする目標に向けて、着実に前進しています。みなさんの賛同と、黒潮に限らず、刷新した定番へのフィードバックをお待ちしております!