生まれ変わる一期一会

新年を迎え、新しく生まれ変わった一期一会の登場です!新しい一期一会の味わいや刷新に至った経緯について話たいと思います。

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先日別のブログでふれたように、年間を通じて販売する定番ビールの位置づけを変更し、2021年のリリースから刷新することにしました。定番ビールは創業当時から会社の顔だっただけでなく、個々のビールに根強いファンがいるため、この決断は決して簡単なものではありませんでした。

京都醸造と一期一会

この刷新を反映した、2021年最初のリリースは一期一会です。ラインナップの中で定番の地位を獲得した最初のビールであるだけでなく、ホームブルー時代から造っていたビールで、第一弾にふさわしいように思います。このベルギー酵母で実験を始めた当時、発酵できる温度帯の広さと、ちょっと条件を変えるだけでビールのキャラクターが変わることに魅了されました。実際にはセゾン酵母ではありませんが、発酵上限の温度まで上げるとエステルの特徴が強くなることに気づきました。スパイシーかつ柑橘系のホップ、Pacific Jadeと組み合わせると、このスタイルの好きなところを全部兼ねそろえたようでした。ドライで飲みやすく、酵母もホップも強い存在感があります。

なぜ今変える決断を?

このビールの製法はほとんど変わっておらず、この5年間で主力商品になりました。それを誇りに思う一方で、その間に得た経験から、既存の製法のマイナス面にも気づきました。酵母の特徴が強すぎて、ビールの味わいを支配していたのです。複雑な味わいを表現するために使っていたホップは、暑い日に何パイントも飲むことを難しくしていました。そして両者の組み合わせが、セゾンの一番の強みである食べ物とのペアリングを妨げていました。

より一期一会らしく

一期一会については、レシピの変更はわずかですが、その影響は最終製品にはっきりと現れています。元のレシピにあった強い酵母のエステルは一期一会らしさである一方で、他の要素を支配するほどに強く、抑える必要があると感じました。そのため発酵温度を下げてアロマとフレーバーのバランスを取り、酵母へのストレスを減らしてより軽く花のような感じにしました。

ホップについても同様の変更を加えました。全体の量はあまり変わりませんが、苦みよりもフレーバーとアロマを重視して、使うタイミングを見直しました。これにより酵母による変化がさらに際立ち、IBUを下げたことで、より様々なシーンで飲んでいただけるビールになりました。

もっと大事な変更は、ホップの品種そのものを変えたことです。アメリカ産のCascadeとニュージーランド産ホップの組み合わせはそのままに、品種はPacific JadeからMotuekaに変えました。この品種はハーブっぽさがありつつも柑橘の特徴が強く、新しい酵母の特徴にぴったりで、できたビールをとても飲みやすくしています。

最後に、セゾンスタイルに典型的なドライな特徴をさらに高めるため、麦芽の少量をグラニュー糖におき換えることにしました。添加物を使っているように思われるかもしれませんが、ベルギーではとてもよくつかわれる手法です。単糖の割合を増やすことで、酵母が発酵に苦労する麦芽由来の複雑な糖の量を減らし、よりドライで飲みやすい製品になりました。

これからの一期一会

最終的に、セゾンはこうあるべきと考えるものができただけではなく、とても飲みやすく、ビーチでも夕食のテーブルでも飲めるものができました。今回の刷新を快く思われない方がいるのは承知ですが、一度飲んでいただければ間違いではなかったとわかっていただけるはずです。