解放
先週は新シリーズのひとつ「毬一族」を取り上げて紹介しました。そして今日はもうひとつ「解放」というシリーズについて詳しくお話しします。
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これまでの投稿で、今年は新しくシリーズを創設することについてお知らせしてきました。創業当時に掲げた「自分が飲みたいビールを作る」という原点に立ち返り、これから進む方向を見据え、これまでのシリーズの見直しとともにいくつかの新しいシリーズを作ることになりました。
既存の一期一会に代表される「定番」、季節をIPAで表現する「気まぐれ」、友人や他醸造所とのコラボ「仲間」に新しく加わったシリーズのひとつとして前回は「毬一族」を紹介しました。人気を博した限定ベルジャンIPA商品「毬男」や「毬子」の系譜を継ぐように、これまで数多くのベルジャンホッピーファミリーが限定醸造として登場してきました。この一連の商品の繁栄を表す言葉として「毬一族」というシリーズ名が冠されることになりました。私たちが愛してやまないベルギー酵母の特徴に現代の醸造技術と世界中で日々生みだされる壮大なホップ群のコンビネーションという京都醸造が初期から抱き続けるコンセプトを見事に具現化したのが”毬”(=ホップの意味)の一字を名前に含んだ毬男や毬子だったのです。そういう観点からも、この「毬」を含んだシリーズ名は、コンセプトやスタイルを明快にそのまま飲み手に伝えることができていると言えます。さて、今回みなさんに紹介したい「解放」シリーズは、その意味では正反対にあるといえるでしょう。
解放というと皆さんはどんなイメージがまず沸き起こってくるでしょうか。時間からの解放でしょうか。自己イメージからの解放というのもよくある話です。私たちの解放シリーズでは、あらゆるスタイル、異なる複雑さのビールを幅広く包括します。いったいそれはなぜなんでしょうか。
私たちはこれまで数々の実験的なビールを造っては、そのコンセプトや醸造への理解を深く掘り下げてきました。夏にグビグビ飲みたい軽い飲み口のビールから冬の寒い季節にチビチビ飲むのが美味しい!と感じるビールや他に類を見ないクレイジーなビールまでその対象は幅広く、あらゆるジャンルに及んでいます。こんな楽しい遊・・取り組みを続けられるならいつまでも続けたいというのが本心です。この解放シリーズでは、前述の私たちの礎「自分たちが飲みたいビールを作る」に真摯に向き合ったビールを作ることにしました。時には料理における味わいの重なりに着想を得て、これとこれはビールにおいても抜群に合うのではないか?という発想からビールを作ることもあるし、今あるラインナップで何が足りないかというとバランスのとれたピルスナーかコルシュだ!という考えから新しいビールが飛び出すかもしれないし、それらは制約や流行りからの解放ともいえるでしょう。ホッピーでジューシーなビールから低アルコールのグビグビ系、これまで以上のインぺリアルスタウトなどその時心に惹かれたものに、周りの眼や期待から解放されて取り組むのもこの解放シリーズです。
少々ワガママに聞こえる解放シリーズですが、作り手が本当に作りたいもの、今飲みたいビールへの想いを他のシリーズ以上に”純粋に”投影した作品が飛び出す予定です。タップルームに醸造チームがぞろぞろ出てきて、この解放シリーズをこぞって注文しているのを将来見かけるかもしれませんね。