仲間

2020年は皆さんにとっても私たちにとっても激動の一年でしたね。ブログでも掲載していますが、2021年からは京都醸造の運営を一新することにしました。その一つは、既存のラインナップに対してもそれらの存在意義を考え直し、新たなシリーズ創設を決断したことについてお伝えしたいと思います。先週、その考えで「六味六色」というシリーズを紹介しました。

今週は、今まであったものの説明が少々足りなかった「仲間」シリーズを紹介します。KBCでは「仲間」はコラボレーションビールの代名詞として使っていますが、その意味について再確認したいと思います。

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初期のコラボ

京都醸造は創業以来ずっとコラボを大切にしてきました。15バッチ目の“京の真夏”は、当時ワシントン州ベリンハムのChuckanut Breweryで働いていた、Jeff "Catfish" Dionneと仕込みました。ほどなくして、ウェールズにある Tiny Rebel の Gareth Williams と、フォーリンエクスポートスタウトの“双截龍” を仕込みました。当時私たちはこの業界に入って間もなかったし、今よりずっと経験もなかったので、最初のころのコラボは友人たちと仕込むことだけにフォーカスしていました。すごい人たちとコラボできるというだけで幸運でしたし、何を造るか、には誰と造るかほどこだわっていなかったのです。

ここ数年のコラボ

仲間とのビール造りは今でも大切にしていますが、湘南ビールの筒井さんとのコラボ(48バッチ目)をきっかけに、お互いの学びになるというコラボの副次的なメリットに気付き始めました。それぞれの醸造所でまったく同じレシピを仕込み、京都ではエール酵母、茅ケ崎ではラガー酵母で発酵させたのですが、酵母の種類がどれほどフレーバーの感じ方に影響するのかを学びました。その後、同じようにお互い新しいことを学び合えるコラボに取り組みました。いくつか例を挙げると、うしとらスワンレイクY. MARKETHereticAJB Co.DevilCraft伊勢角屋麦酒Upright大山Gビール、など…。原料にお米を使ったり、ケトルサワー製法を試したり、初めてのラガーを造ったり、日本酒の酵母やブレタノマイセスなどビール酵母以外の微生物で発酵させたり…。コラボを通して数えきれないほどたくさんのことを学びました。

ビールにとどまらない

コラボでの学びはビールだけにとどまりません。近隣の大先輩、箕面ビールとのコラボでは、醸造チームだけではなく出荷や営業チームのメンバーも行き来して互いのやり方を学び、成功事例を(ゾッとするようなことも!)共有し合いました。海外のコラボ相手のみんなも寛大で、 Arizona Wildernessはポールが訪ねたときに彼らのやり方を包み隠さず見せてくれましたし、Bottle Logicのみんなは彼らの戦略や事業運営の手法について、何時間もかけて話してくれました。要するに、コラボは外から見たら売るための話題作りに見えるかもしれませんが、京都醸造にとってはもっとずっと価値のあるものなのです。

これからのコラボ

残念なことに、新型コロナウイルスの影響を受け、2020年と2021年のコラボの計画は台無しになりました。昨年早々の、トロントGodspeed BrewingのLuc Lafontaine、Taihu BrewingのWinnie Hsuたちとのコラボはなんとか実現しましたが、それ以降従来のように対面で一緒に仕込むことは、当面のあいだ問題外です。数や形式など、2021年のコラボは色々調整が必要ですが、完全にあきらめるつもりはありません。先日初めてリモートコラボで、新しいやり方での仕込みを試みました。近いうちにこの詳細を共有することを楽しみにしています!