満彩
2020年は皆さんにとっても私たちにとっても激動の一年でしたね。ブログでも掲載していますが、2021年からは京都醸造の運営を一新することにしました。その一つは、既存のラインナップに対してもそれらの存在意義を考え直し、新たなシリーズ創設を決断したことについてお伝えしたいと思います。先日「ご地愛」シリーズを紹介し、今週ケトルサワーの「満彩」シリーズについてお伝えしたいと思います。
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サワーに魅せられて
京都醸造を立ち上げて以来、絶えず私たちをとりこにし続けるベルギーの伝統的な醸造スタイル。中でもグーズやフランダースレッドに代表される複雑な酸味をつくりだす独特の発酵技術は本当に奥が深い。いつかはその伝統に倣った方法でサワービールを造りたいと思っているのですが、まずは発酵スピードが早く、調整が比較的容易という点では取り組みやすいケトルサワー製法という技術を使って醸造を始めました。そのきっかけとなったジャミルさん率いるHeretic Brewingとのコラボ「紫の人喰い」を皮切りに、さまざまなサワービールを造り、「うりふたつ」や「酸周年」、「太陽の恵」といった人気を博した商品も登場しました。
満彩シリーズについて
サワービールの醸造を重ねるなかで、このスタイルが持つ味わいの幅の広さには毎回驚かされてきました。シンプルで上品な酸味を味わうものから、フルーツ果汁などの甘みと合わせたもの、そしてホップの香りとは多少ペアリングするのは難しいのですが苦味との相性を活かしたものまで本当に多種多様なサワービールが出来上がりました。この個性の多様性を包括するサワーを京都醸造の商品群の中でひとつのラインナップとして確立し、引き続きサワーを探求をする場として「満彩(まんさい)」シリーズを創設しました。
私たちがこのシリーズで達成したいこと
満彩シリーズの創設によって、新しい切り口で様々なサワービールを生み出し続けられるし、サワー好きの方はもちろん、まだ体験したことのない方にも手に取ってもらえるようなシリーズに育てていきたいと思っています。1年を通して、上品な酸味をさっぱり味わうシンプルなサワー、1~2種類ほどのフルーツを使ったサワー、そしていくつかは昨年リリースしたパイナップルとタラゴンをつかった「南国の日差し」のようなフルーツとハーブを合わせたような印象的なサワーを造っていく予定です。シリーズの枠の中で、アルコール度数や副原料のペアリングなどを工夫し、サワーが持つ可能性をとことん探究していきたいと考えています。
なぜ”満彩”
満彩は読んで字の如く、たくさんの色彩でうめつくされている様子を表した造語なんですが、実際にこれまで造ってきたサワービールの多くで使用した果物の色味がそのビールの個性として表現されてきました。もう一つ、満という字を当てた背景にはこのビールをサワービールたらしめる目には見えない功労者、乳酸菌の存在があります。醸造過程で投入される幾億もの乳酸菌が一晩にしてビールをサワービールへと変化させていくことで、私たちを魅了してやまない酸味が生まれるのです。こういったことも含めて、サワービールというもの自体が国内ではまだあまり認知されていないと思うのですが、このシリーズをきっかけに、サワーファンが一人でも増えたらいいなと考えています。これからこのシリーズがたくさんの彩りで満たされていくのを、ぜひ楽しみにしていてくださいね!