ご地愛 (続)
先日のKBCブログでも言及しましたが、2021年より京都醸造はこれから進む(進みたい)方向をいくつかに絞り注力していくことに決めました。その一つが、ずばり創業以来私たちを支えてくれている第二の故郷ととも言える京都に焦点を当てるということです。
いつだってこの街との繋がりを感じてはいるものの、今まで表立って感謝の気持ちを示したり、街やそこに住む人々に対して積極的に貢献することができていなかったと思っています。そこで今回は、私たちと同じくらいこの街を大切にしている方々やグループと力や知恵や技術を出し合い、この街にすこしでもプラスになる取り組みをしてゆく「ご地愛」というシリーズで創設し、第一弾は京都の常設店(KBCの樽生ビールを常設にしてくれているお店)と一緒にビールを造ることにしました。
常設店の中でプロジェクト参加者を募り、皆でスタイルや材料、ネーミングに至るまでアイデアを出し合い、一つのビールが出来ました。飲食業、ビール業界のみならず、コロナ禍でなかなか一緒に集うという当たり前のことが叶わない時ですが、そんな時こそ繋がりを意識し難局を共に乗り越えて生きたいという想いを込めて今回出来上がったビールに「輪(わ)」と名付けました。
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京都醸造と京都
醸造所を立ち上げる計画を始めた時にまず最初に頭を悩ませたのは、その名前でした。
アイデアが全くなかったからではなく、私たちは最初から”京都醸造”という名前でいきたいという気持ちでいました。しかし、その街の名前をでかでかと掲げてビールを造り始めた時に、地元の人たちがどんな反応をするのか考え始めると、なかなか不安になって躊躇した時もありました。
京都はご存知の通り、長い長い歴史に裏打ちされた千年以上も続く都で、この街の名前が持つ響きはそれだけで世界で名だたるブランドといっても過言ではないでしょう。もちろんそういった京都のブランド力を最大限に利用する企業もこの街には多く、誰もが京都を想起するような舞子さんや石畳の風情のある風景を使った商品はどこかしこで見られます。
しかし、私たちがもっていた京都へのイメージはちょっと違いました。それは様々な職業においてその道を究めた職人さんが多く、品質への高い意識とプライド、長い歳月をかけて積み重ねられた伝統、仕事に対する妥協のない姿勢など、表面的な煌びやかさではなく、この街に脈々と生きる思想や深みです。すっかり京都に魅せられた私たちは、いつしかクラフトビールを造るならこの街以外では考えられないというくらいにもなっていたし、結果的にこの選択は決して間違っていなかったと思っています。
今でも京都醸造と聞くと名前にわざわざ京都と冠して・・と思われているかもしれませんが、この街の思想とともにビール造りを究めたいと誓ったあの日の気持ちを呼び起こし、奮起させてくれる「京都」という言葉の響きは醸造所の名前にして本当に良かったと思っています。
「この街で」から「この街と」へ
これまで5年間で造ってきた数々のビールはこの街の名に恥じないものであったことに自信はあります。昨年より猛威を振るっているコロナウィルス感染症の影響により、会社としていくつかの方針を変えたり変化を迫られる状況になりましたが、これまで以上に京都で醸造所を経営することの意味というものに向き合い、取り組んできたことを顧みる機会になりました。私たちはただその場所に存在しているだけではなく、京都というコミュニティーのいちメンバーとしてこの街にプラスに働く取り組みがビールの醸造以外にももっとできないものかと模索を始めました。
どうやって?
その質問への答えは、今年2021年よりこれまで以上に地元京都に焦点を当てた取り組みをしていくことにしました。まず、ご自愛ならぬ「ご地愛」というビールシリーズを創設し、京都で活躍するグループや組織、個人と共に、地元コミュニティーの活性化やプラスに働く取り組みを積極的に行っていきたいと考えています。そういった方々と一緒にビールを造ることもあれば、この街で難しい問題に取り組んでいる団体への寄付を募る特別なビールを販売したりと、活動の方法は限定していません。
まとめ
今日まで私たちを培ってくれたこの京都に、ご地愛シリーズの活動を通して、何かすこしでも還元できることができたらいいなと考えています。まず最初の取り組みとして、私たちにとって大切な京都の常設店(京都醸造の樽生ビールを常設してくれている飲食店)の方々と造ったビールが間もなくお目見えします。こちらの商品についてはまた近日中に詳しくお伝えしたいと思います。今日は皆さんに私たち京都醸造の京都に対する想いをお話しました。ご拝読ありがとうございました!