KBCのコラボ - 近々のリリースと来年のスケジュールについて
今年は、これまでにないほど旺盛にコラボレーションを行っています。
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2024年 - これまでのコラボ
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3月
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- DD4D側 = かわるがわる (Dry Hopped Citrus Belgian Tripel)
4月
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West Coast Brewing (静岡県)
- KBC側 = 黄金比
- シトラの黄金比 (Hazy IPA)
- KBC側 = 黄金比
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- エルドラドの黄金比 (Hazy IPA)
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- WCB側 (2023年) = 戮力協心 (Hazy IPA)
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5月
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KOBO Brewery (富山県) + Godspeed Brewery (カナダ、トロント市)
- 黙々人 (Grodziskie)
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7月
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- Y. Market側 = 相紫蘇愛 (Shiso French Saison)
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8月
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麦雑穀工房マイクロブルワリー (埼玉県)
- KBC側
- 正統派 (Hefeweizen)
- KBC側
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- 異端派 (Matcha Weizen)
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- 麦雑穀工房側 = 小京都 (Farmhouse Saison)
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9月
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二兎醸造 (滋賀県)
- KBC側 = 太く長く Movember (Baltic Porter)
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- 2R側 = Movember (Sahti)
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10月
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- Totopia側 = 近々販売予定
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3月以降、ほぼ毎月のペースで他の醸造所との共作を発表してきました。
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そして、11月は、なんと以下の3つのコラボを一斉にリリースします。
11月
- Be Easy Brewing (青森県) + Black Tide Brewing (宮城県) + Sakamichi Brewing (東京都立川市) + West Coast Brewing (静岡県) - 「もものふ」
- 箕面ビール (大阪府) - 「狐猿兄弟」
- 奈良醸造 (奈良県) - 「二都物語」
では、今回はこれらのコラボレーションの背景やビールについてお話していきたいと思います。また後半には、12月と来年2025年に予定しているコラボについても触れていきます。
コロナ禍の影響もあり過去数年は行ってこなかったコラボレーション。そのため、今年に入ってから再開した様々な醸造所とのビール造りを介した交流は一層特別な意味を持っています。
コラボレーションは、私たちが日常の枠を越え、特別なビールを作る機会を提供してくれます。それは、普段はあまり造らないスタイルであったり、通常は使わないような入手困難・希少な原材料を取り入れることだったりします。私たちが自身に課しているビール製造におけるルールや方法を一時的に脇に置き、相手方の手法を採用することで、既成観念や枠を取り払い、それを将来の製造に活かす学びの場とする一面がコラボレーションにはあります。
また、業界内の仲間たちと再会し、絆を深めるという純粋に素晴らしい機会でもあります。
今年はジェームスが私たちのチームに加わり、彼をこの業界の人達に紹介する最良の方法として、「コラボ巡礼」のような一連のコラボプロジェクトを行うことにしました。
この取り組みは、KBC2.0)(京都醸造のビールラインナップの半数を刷新する取り組み)や、来年2025年5月に創業10周年記念(5月9日に特別なビールをリリース予定)といった背景と相まって、新たな挑戦を象徴しています。変化を受け入れ、味方にしていくと決心した私たちは、この巡礼のようなコラボレーションの旅を、手綱を緩めることなく、ぐいぐいと進めていくつもりです。しかし、単にコラボの数を増やすのではなく、目的を2つに分けることにしました。
- 目的1 - 仲間シリーズ: 過去にコラボした仲間との再会や新しい友人たちとの出会い。
- 目的2 - OBシリーズ: 元メンバーたちとの再会。具体的には、かつて私たちの醸造チームで働いていた醸造家たちとのコラボレーション。
これらを踏まえた、2025年5月までのコラボレーションスケジュールを後半にお知らせします。
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近々リリースする予定のコラボ
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1. 「もものふ」(仲間シリーズ)
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- Involved Breweries: Be Easy Brewing + Black Tide Brewing + Sakamichi Brewing + West Coast Brewing
- 背景:
- 過去の投稿でも度々お伝えしてきたように、京都醸造はKBC2.0という名のもとに、新ヘッドブルワー、ジェームズの加入に合わせ、彼の持つテクニックや感性をふんだんに取り入れたビールで新しい方向性を示してきました。その中で、ホップの生産地を訪れ、選定、購入する取り組みも始めました。そのKBC2.0が本格的に始まる少し前、今年3月に訪れたニュージーランドでは、たくさんの素晴らしいホップに出会いました。その中でもFreestyle社のホップは格別でした。
- そもそも、ニュージーランドへ渡るきっかけになったのは、West Coast Brewingを訪れた際に、ホップ冷蔵庫で目に入ったシルバーの箱。ディレックに聞くと、ニュージーランドから購入しているFreestyle社のホップとのことで、その後しばらくこの話題で話したのを記憶しています。その後数週間後には、何名かの醸造所仲間たちでニュージーランド行きの飛行機に乗り込んでいました。
- 2023年にWest Coast Breweryと共に現地に参加したBe Easyは、今回残念ながら吹雪を伴う悪天候のため直前で飛行機に乗ることができませんでした。
- そんなBe Easyも一緒になって、この旅でニュージーランドホップ、とりわけFreestyle社のホップの鮮烈で鮮やかなアロマやフレーバーに驚き、感動した記憶を共有するメンバーで、各醸造所ごとにFreestyleのホップを使ったビールを造ることにしました。
- 6月に私たちは今年収穫されたホップを一緒に試飲し、使用するロットを選びました。共通した素材を使って異なるスタイル、異なる副原料をもって多彩なビールを造る。それによってこのホップが持つ可能性、ビールという表現の自由さを感じさせるワクワクするプロジェクトにすることにしました。
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- Premise:
- まず、素材に選んだホップは「ピーチャリン(Peacharine)」。
- 桃のような芳香をもつホップとして、昨今醸造家の間で注目を集め、私たちも先の「ドンブラコ」というビールでこのホップを取り上げました。今年は、ピーチャリンの生産が整い、広い範囲で提供できるようになったことから、Freestyleと契約しているすべてのブルワリーがこのホップを手にできるようになってきたそうです。
- このコラボでは、ビールを決めるいくつかの要素(スタイル、副原料、サポートホップ)を、ルーレット形式のゲームで運に任せて決定するというルールを決めました。 その結果、ある醸造所は聞いただけで「お、いいね!」と思えるような好条件を引き当てましたが、なかなかの挑戦になるような条件を課された醸造所もありました。
- 私たち京都醸造は、まずスタイルは「ペールエール」、副原料は「乳糖(ラクトース)」、そして、サポートホップに「Waimea」という結果を引きました。
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-
- 京都醸造を含む5つの醸造所(Be Easy Brewing , Black Tide Brewing, Sakamichi Brewing, West Coast Brewing)でそれぞれに造られた、Freestyleのピーチャリンホップビール。どんな仕上がりになっているのでしょうか。
- 私たちが造った「もものふ」は、非常に柔らかくクリーミーな口当たりをもったペールエールに仕上げることができました。ピーチャリンを主体とするNZ産ホップブレンドをたっぷりと使用し、トロピカルなフレーバーとアロマが際立ち、柑橘やストーンフルーツの風味も絶妙にブレンドされています。飲みやすさと豊かな個性を兼ね持った、何杯でもおかわりしたくなるようなペールエール。
- この各醸造所で取り組んだFreestyleコラボは、11月18日の週に各社から同時に全国発送開始される予定です。同じホップでも、これだけ多彩に表現できるものか、各醸造所のビールを飲み比べをして楽しんでもらえたらと願っています。
2. 「狐猿兄弟」(仲間シリーズ)
- Involved Breweries: Minoh Brewing
- 背景:
- 私たちがまだ醸造所を立ち上げようと画策していた頃、ベンと私(ポール)は東京の下北沢に住んでいました。その地域には知る人ぞ知る有名(悪名高い?)なバー、「うしとらI」と「うしとらII」があり、私たちは足げく通い詰めていました。
- ある晩、KBCの計画を進める中、足を運んだある醸造所で偶然、箕面ビールのオーナーである大下香緒里さんに出会いました。
- 「私たちは京都でブルワリーを始める予定です」と自己紹介すると、香緒里さんは当時、関西の醸造所の数がまだ少なかったこともあり、同じ地域で新しい挑戦をする人たちを応援したい、と温かく声をかけてくださいました。
- それ以来、私たちは事あるごとに彼女に相談をし、時には助けを求め、その度に彼女は一切嫌な顔をせずに、温かく手を差し伸べてくれました。
- それは、例えばどんなことがあるかというと
- 醸造所運営に不可欠な酒税のことを良く知る方を紹介してもらったこと
- 醸造担当、松ちゃん(彼についてはまた後程触れます)を紹介してもらったこと
- ボトルや缶の販売を始めた頃に大きな取引先を紹介してもらったこと
- などなど、助けてもらったことは枚挙にいとまがありません。
- Premise:
- その箕面ビールさんとは以前も、一緒にビールを造ったことがあります。桃姫と黒猿王子という対になったものでした。そして、再度こうして一緒にビールを造る機会に恵まれた私たちは、ジェームズにとっては初めてとなる箕面さんの桃を使ったケルシュを造ることになりました。
- ジェームズは長い間、ケルシュを作りたいと考えており、それを香緒里さんに話したところ「桃を使ったケルシュビールは今まで作ったことがない」ということで興味を持ってくれました。
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- 季節によって使う桃を使い分けられている箕面さんから今の季節にあった桃を厳選いただき、桃のいいところを最大限にひきだしたケルシュ「狐猿兄弟」が出来上がりました。11月30日に京都醸造オンラインショップで発売。
- 一方で、箕面ビールさん側でのコラボレーションは、来年に予定されています。
3. 「二都物語」(OBシリーズ)
- Involved Breweries: 奈良醸造
- 背景:
- 先に説明したコラボの2つの異なる目的のOB枠に該当する第一弾は、奈良醸造。
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- 浪岡安則さん(以下、やすさん)は奈良醸造のオーナー兼ヘッドブルワーで、奈良出身の彼にとって、地元で醸造所を立ち上げることは長年の夢でした。その夢を実現するために、彼は京都醸造で醸造だけでなく、ブルワリーが立ち上がる初期段階を経験するために働いていました。
- 奈良醸造は、IPAを意図的に避ける方向性を選び、ここ数年はさまざまな副原料を使った多種多様なビール造りに力を注いできました。この独自のアプローチは、彼らの魅力・強みの一つです。
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- Premise:
- 今回のコラボでは、かつてやすさんが小さな規模で作った「ミルクスタウト」を再現することを目標にしました。しかし、やすさんのアイデアで「ミルクスタウト」というテーマを踏まえながらも、今回は「ゴールデン/ホワイトスタウト」を醸造することになりました。
- このつながりをさらに強化するため、私たちは最近のコーヒースタウトで豆を使った京都のロースタリ―、 Coyoteさんを奈良醸造に紹介し、奈良からはAny B&B+Coffeeさん を紹介していただきました。両側のコラボで使われる副原料に、統一感を持たせるように、どのような材料を使うかについても綿密に打ち合わせを行い、工夫されています。このコラボは、地元愛と革新性の融合を象徴するものとなるでしょう!ミルクスタウト「二都物語」は、11月25日に京都醸造オンラインショップにて発売。
以上で近日中に発売されるコラボレーションの紹介でした。
そして11月以降のコラボについても簡単に触れていきたいと思います。
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2024年内のコラボ
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With Yamorido (OBシリーズ)
歴史を感じさせる京都伏見にある家守堂は、伝統的な町家を改装して設立された醸造所。そこの醸造責任者、家住弘子さん(ひろこさん)はかつて京都醸造に所属していました。
家守堂は、かつてはお茶の販売店であったことから、それを引き継ぎ、現在もお茶を販売する傍ら、さまざまな種類のお茶を使ったビールを造っています。ジェームズは以前から「お茶を使ったビール」を造りたがっていて、今回は冬にぴったりの京番茶を使ったビールを醸造する予定です。一方、家守堂側では、ニュージーランド産ホップ(特にMotuekaとRiwaka)が好きなひろこさんの希望で、新鮮なNZホップを持参し、大胆で力強いIPAを一緒に醸造する予定です。12月リリース予定。
With Ape Brewing (OB series)
加藤大吉さんが2012年に大阪でオープンしたビアバーYellow Ape Craftは、国内外のクラフトビールを提供する人気の場所として多くの方に支持されてきました。そうした成功をもとに、燻製に特化したSmoke Ape(現在は閉店)や、日本食と国内ビールに焦点を当てた幸民といったお店を展開しました。その後、加藤さんはご自身のブルワリーを立ち上げる決断をし、ビアバー幸民を改装し、Ape Brewingとして醸造スタート。その際に、京都醸造でビール製造に携わっていた松本さん(まっちゃん)をヘッドブルワーとして迎え入れました。
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まっちゃんはベルギー酵母が大好きですが、それ以上にイギリスビールを愛しています。私たちもKBC2.0の中で洒落、イングリッシュビターやインペリアルポーターを醸造しており、今回も一緒に新たなイギリスビールを醸造することができたらいいなぁと思っています。来年1月リリース予定。
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2025年のコラボレーション予定
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1月
- Be Easy Brewing (仲間)
- Flora Fermentation (OB)
2月
- Vertere (仲間)
- Nude Brewing (OB)
3月r
- Kyoto Beer Lab (仲間)
4月
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Closing Words
これだけたくさんの仲間たちとのコラボを計画してきましたが、時間の制約からスケジュールに組み込めなかった醸造所が他にも多数あります。また、長年尊敬する醸造所とも、そうした話はありましたが、残念ながらタイミングが合わず実現できなかったケースもありました。さらに、ここ数年で設立された新しいブルワリーとも出会う機会があり、一緒にビールを造りましょうという話に発展したところもありますので、また今後コラボが実現することでしょう。
2024年と2025年の前半は、まず日本国内の醸造所とのコラボに焦点を当ててきました。2025年5月に10周年を迎えた後は、少し小休止を入れ、現状を見つめ直し、次のマイルストーンに向けて何を目指していくべきかを再考する予定です。
それまでは、KBCにとって四方八方へ動き回るクレイジーな日が続くことになりますが、この期間に発表されるビールを皆さんに気に入っていただけることを願っています!