新シリーズ2022 「突破 -TOPPA-」
これまでそれぞれのコンセプトに合ったビールを発表してきたシリーズ群の中で、もともとの予定通りに一巡したものや私たちが叶えようとしているコンセプトがうまく反映されていないと判断したものに終止符をうち、それと同時にいくつかの新しいシリーズを創設しようとしています。(過去の投稿:私たちの「目的」と「シリーズ化」、新シリーズ2022 「帰還 -REDISCOVERY-」)
今回は今年新しくスタートするふたつめのシリーズ「突破」について。
先にお知らせしたKBCのルーツであるベルジャンに再び焦点をあてた「帰還」シリーズ同様、突破はバランスと技、そして限界を超えたビールに焦点をあてた取り組み。打ち破り、超えていくという意味のシリーズ名をつけたのは、これまでの発見や得た技術を駆使し、限りなく高いところへ上昇していくという気持ちと、実際に10パーセントを超える高いアルコール度数のビールを造るというのがコンセプトです。
京都醸造が大事にする基本的価値観のなかで特にビール醸造に大きく影響を与える「技能 -Craftsmanship」、そしてもうひとつは「探求心 -Exploration」。このふたつは、場合によっては相反するようなものに聞こえるかもしれません。技能は醸造において目指すの水準に到達するまで、休まず修練し、技の精度を高めていくこと。そして、探求心は自らの経験が浅い部分を自覚し、学ぶ機会を求めて外に向かって歩み出る姿勢を忘れないという思いを込めたもの。この二つは京都醸造の根底に脈々と流れるもので、特に今回の新しい突破シリーズには、それぞれの要素が存分に注ぎ込まれています。高いアルコール度数のビールの世界に、これまで得た技術と私たちの持つ設備の能力を限界まで使い切り、まだ見ぬ発見を求めて繰り出していくものです。
帰還シリーズとはうって変わって、突破シリーズから発表されるビールの多くには穏やかさや繊細さは不在かもしれません。しかし、味わいのボディ感や個性、そして印象に残るような飲みごたえを兼ねそろえていることでしょう。また、ベルギービールにインスピレーションを得たビールが多い京都醸造の中では珍しく、突破からはあらゆるビール文化から着想を得て、多種多様で深みのあるハイアルビールが発表されます。
また、普段は味わいのバランスを重視し、飲みやすいビールを目指すことが多いですが、このシリーズのビールはどちらかというと”ベルジャン・クアッド”や香り高い”インペリアルスタウト”のようなしっかりとしたボディ感を感じながらゆっくりちびちびと楽しんでもらうビールを多く発表していく予定です。