毎年、8月13日が近づくと、埼玉県のAquwa Brew Works・Beer Nova・Beer Hunting Urawaの3店舗で、京都醸造のタップテイクオーバーが開催されます。
このイベントは、一般的な「タップテイクオーバー」とは少し趣が異なります。かつて南浦和で”Primordial”を営んでいた故・藤井健太さんを偲び、その想いを受け継ぐために続けているイベントだからです。追悼イベントと聞くと、厳粛で静かな催しを想像されるかもしれません。しかし実際には、私たちが毎年参加するイベントの中でも、とりわけ楽しく、温かな時間が流れる特別な一日です。今では藤井さんと面識のなかった方々も数多く参加し、新しいつながりが生まれる場となっています。

私たちがこのイベントに深い意義を感じ、大切にしてきた理由は2つあります。ひとつは少し真剣な理由、もうひとつはとても前向きで、希望に満ちた理由です。
まず一つ目は、「健康診断の大切さ」を伝えることです。これは、2022年秋に藤井さんへの追悼を込めて醸造したビール「藤源郷(とうげんきょう)」をリリースした際にもお伝えしたメッセージです。
KBCブログ:親友、藤井さんに捧げる「藤源郷」と私たちの願い
日本の医療制度は世界でも高い水準にあります。その特徴のひとつとして、多くの企業や公的機関では定期健康診断の受診が推奨され、場合によっては義務付けられていることが挙げられます。そのおかげで、多くの病気が重症化する前に発見され、治療につながっています。
しかし、その恩恵を十分に受けられていない業界もあります。特に小規模な自営業ではその傾向が強く、バーやレストラン業界では、経営者が週6日、あるいは7日、長時間働き続けることも珍しくありません。「1日だけ店を休めばいい」と言うのは簡単ですが、現実には営業を止めることへの不安から、健康診断を後回しにしたり、「今はその余裕がない」と感じたりする人が少なくありません。
私たちは、もし藤井さんがもう少し早く検査を受けていたら、違う未来があったかもしれないと考えています。だからこそ、このイベントを自分たち自身への戒めとし、そして耳を傾けてくださるすべての方へ、「どうか健康診断を受けてください」と伝え続けたいのです。
もうひとつの理由は、”Primordial”が南浦和の街にもたらしたものです。藤井さんが店を構えた場所は住宅街の一角で、周囲にはバーやレストランもほとんどありませんでした。一見すると不利な立地にも思えますが、藤井さんはあの場所でだからこそ実現できる、目指すお店の姿を明確に思い描いていました。そして、時間をかけながら少しずつ、彼の人柄に惹かれた人、店の空気を気に入った人たちが集まり、やがて常連同士がつながり、新しく訪れた人もその輪に加わっていきました。こうして”Primordial”は、単なるビールを飲む場所ではなく、人と人が出会い、つながるコミュニティの拠点となっていったのです。

藤井さんが病気になった後は、常連の皆さんが交代で店を守り続けました。そして、彼が亡くなられた後、私たちは“Primordial”で最後のイベントを開催。
その日は悲しみだけではなく、笑顔と懐かしい思い出にあふれた時間でした。そして何より、「このつながりをこれからも大切にしていこう」「藤井さんとPrimordialが灯した火を絶やさず、次へつないでいこう」という、前向きな想いに満ちていたのです。
その日は悲しみだけではなく、笑顔と懐かしい思い出にあふれた時間でした。そして何より、「このつながりをこれからも大切にしていこう」「藤井さんとPrimordialが灯した火を絶やさず、次へつないでいこう」という、前向きな想いに満ちていました。
藤井さんはPrimordialを開店した当初、クラフトビールについて特別詳しかったわけではありません。それでも、ビールには人と人を結びつける力があり、世界中で人々が自然と集う場をつくってきた理由を、誰よりも直感的に理解していた人でした。
だからこそ、ビールの持つ力を信じる私たちもまた、その藤井さんの想いに強く共感し、これからも受け継いでいきたいと考えています。かつてPrimordialに通っていた方も、この店を初めて知った方も、この日に集まり、一緒に乾杯しましょう。
日程:8月14日(金)・15(土)・16日(日)
会場:
Aquwa Brew Works(南浦和)
Beer Nova(浦和)
Beer Hunting Urawa(北浦和)
KBCグッズの入手をご希望の方を対象にスタンプラリーが開催されます。また、ベンもいずれかの日程には顔を出す予定です。

