違うアプローチでIPAにチャレンジ - 残念なお知らせ

喜ばしいことではありませんが、あるバッチのビールの仕上がりが期待どおりでなはく、廃棄するという難しい決断をしなければならないことがあります。これは通常完成したビールのフレーバーの特徴が、私たちが設定した許容範囲を超えているからです。2018年に同様の理由で廃棄した定番の一期一会、一意専心のことを思い出す方もいるかもしれません。1回限りのビールで試した新しいコンセプト、原材料や技術が予想通りうまくいかないこともあります。あまり声を大にして言いませんが、一番最近だと大麦麦芽の代わりに100%小麦麦芽のビールを造ったときです。麦汁を造り発酵させることは問題なかったのですが、100%小麦麦芽のフレーバーの特徴は私たちが考えていた楽しいものではなく、ドレンに流さなくてはなりませんでした。

残念なことに、最近紹介した8月上旬リリース予定の実験的なドライホップビールにも同じことが起きてしまいました。仕込みと発酵までは順調だったのですが、ドライホップがうまくいきませんでした。100%確信があるわけではないのですが、ドライホップの工程に関する何かがうまくいかず、期待していたトロピカルで柑橘系のフルーツの特徴の代わりにホップのよくないところ(草っぽさ、苦味、渋味)がすべて出てしまいました。

廃棄するという選択は私たちをとても悲しい気持ちにさせますし、ビールを無駄にしてしまったなあと思います。しかし、製品に誓うコミットメントとお客様に抱いている尊敬をよりいっそう強くしてくれるという点で、その選択をすることを非常に誇りに感じてもいます。基準を満たさない製品を出すことはお客様をがっかりさせ、その結果私たちが懸命に取り組んできた品質に対する評判を損なうものであると、強く信じています。

このビールは予定通りに行きませんでしたが、このコンセプトには心を奪われており、近いうちにまた仕込みのスケジュールに組み込めることを楽しみにしています。それまで、美味しいビールに乾杯!

クリス・ヘインジ
京都醸造株式会社 醸造責任者兼共同創業者