大きな変化を迎えた2023年を振り返り

私たちが最後にその年を振り返った文章の投稿を行ったのは2019年のことでした。思い返せば、その当時、私たちはより前向きに計画を立て、実行することで組織として成熟することをひたむきに目指していたように記憶しています。そして、その数か月後、コロナウィルスが襲来し、すべてが一変しました。当時の京都醸造と今の私たちを比べると、同じ会社とは思えないほどにあの瞬間から違う世界を生きたというほどのインパクトを与えました。コロナはある種、大きな警告のようだったし、ビジネスモデルや将来に至る過程に多くの変更をもたらしました。

 

2023年は、まさに私たちにとって「コロナ後」が始まった最初の年のような感じでした。しかし、これは以前の状態に完全に戻ったというわけではなく、人々のものの見方や、仕事の仕方、余暇の過ごし方など、生活のあらゆる部分に多くの変化をもたらしました。私たちはすでに新しい「日常」に慣れ、再び外へ繰り出し始めました。実際に私たちのバーや飲食店へのビールの販売水準もほぼコロナ前に戻りました。(一時はもう二度と元の状態には戻らないのではとまで考えていました。)ただし、多くの人々の外出する回数は依然減ったままでしょう。コロナ前には早朝まで営業していたバーや飲食店が早めに開店し、早めに閉めるといったことがそのままの状態であることから、もちろん店主が太陽が昇る頃に帰路につくのはあまりにも不健康だと気付いたためかもしれませんが、利用するお客さんもコロナをきっかけに習慣を変えて早く外出し、早く帰るようになっているためでしょう。これらの変化は、私たちがこれまで尊重し、焦点をあててきた地元を優先した路線を強化することになり、お客様がどこでも、いつでも、好きなシチュエーションで京都醸造のビールを楽しめるようになるための戦略を継続する理由を与えました。

 

 

コロナは京都醸造を含むすべての人々にとって命を脅かす脅威でありながら、地殻変動でもあり、また社会的な変化を促進した存在として記憶されるでしょう。そして、私たちにとっては、ヘッドブルワーで共同創業者であるクリスが京都醸造を去るという別の大きな地殻変動があったことをなしに2023年を語ることはできません。彼は2022年の段階で、この選択をし、私とポールに打ち明けましたが、2023年の多くの時間とエネルギーは彼の去就後の変化に備えること、具体的にはクリスが設定した高い基準を維持しながら、京都醸造を継続して走らせることの準備に集中しました。

 

コロナが多くの人々に変化や挑戦をもたらしたように、今年は私たちにとってこういった創業以来の大きな試練に直面した一年になりました。その結果というような影響と変化の多くはこれからの2024年に目に見えて起こることでしょう。(これについては明日、ポールからの投稿で詳しく説明し、来年に起こる大きな予定とともにおしらせする予定です。)そして、その多くは既に進行中です。

 

この会社が始まって以来の大きな出来事により、私とポールは再び落ち着いて席に着き、京都醸造で何を達成しようとしているかについて改めて考えを整理し、この船がどこに向かうべきか、そこに到達するためにはどのような進路をとる必要があるかを再確認しました。また、これは社内のメンバー、特に醸造担当チームに対しては、クリスがこれまでほぼ一人で打ち込んできた膨大な仕事を習得し、多くの挑戦を引き受けていくことを促しました。この日を境に、この挑戦がメンバーそれぞれに受け入れられ、不安におののくことなく強い決意が示された時は、今でも深く印象的に残っています。その間「今後、会社は何をするのか」と聞かれたことはなく、皆が積極的に学びや成長の機会を活かすことに集中しているようでした。これまでは基本的にクリスがビールのレシピから改善に至るまで推し進めてきましたが、彼が去った今、メンバーは連帯し、発想を広げ、構想から完成までの醸造に深く関わり、力を合わせてビールをよりよくするアイデアを出し合っている光景を見るのは感動を憶える瞬間です。

 

 

そういったことで、大きな変化を迎えた今年は、まずそれに屈することなく対応できたメンバーのみんなにありがたく思っています。今後起こりうるどんな嵐にも耐えうる強い自信をもつ決意が、会社をまとめた気がします。そして、業界の人々とクラフトビールファンから寄せられた励ましの言葉にもとても厚く支えられました。感謝しています。人の温かさを感じる度に、改めて私たちがいるこのクラフトビール業界がいかに素晴らしいものか、そして、私たちが愛するこの国の京都という街でビール造りができていることが本当に幸運であることを思い出させてくれました。ありがとうございました!そして、これからも京都醸造をよろしく!!

 

ベン