KBC木樽熟成 - その3 - 木樽熟成ビール造りに取り組みと「冬眠からの目覚め」

ここ最近一番わくわくした投稿は、昨年の大きな進展である木樽熟成についてのものです。冬眠からの目覚めについての話に入る前に、このユニークなビール造りにどのように取り組んできたかを少しご紹介します。

瓶詰め作業

正統派のウイスキーやスピリットの木樽で熟成させたビールから、より複雑で時間のかかるサワーまで、木樽熟成はここ京都醸造で常々やりたいと思っていました。最近の記事でふれたように、木樽熟成は「通常の」ビール生産よりもはるかに多くの未知で制御できない要素がたくさんあります。木樽は、呼吸をしたり、汗をかいたり、染み出したり、いろいろな意味で生きているものなのです。たとえ同じ種類の木樽に同じものを詰めても、できるビールの特徴は異なります。

瓶洗浄作業木樽の未知のリスクを最小化し、可能な限り安定した高品質の製品をつくるため、最終的な目標は木樽熟成専用の設備を持つことです。これにより、温度や湿度などをより細かく制御できるようになるだけでなく、こういった「野生」ビールが木樽熟成しない製品を汚染するのを防ぐことができます。この夢のような施設を完成させるまでにはまだ長い道のりがありますが、2019年、私たちは実験を始めるためのスペース、時間、資金を確保し大きな一歩を踏み出しました。この木樽部屋は必要最低限のものですが、現在様々な熟成段階にある19の木樽を寝かせており、予測不可能な世界への新たな冒険へと私たちを駆り立てています。

王冠付ける作業前回の投稿では「異端児の逆襲」 の木樽熟成バージョンにふれましたが、今回は、ウイスキー樽に詰められた 「冬眠からの目覚め」 にフォーカスします。このビールは毎年発売しているベルジャンインペリアルスタウトで、ほとんどのスタウトにあるコーヒーとチョコレートのような特徴に、ハウス酵母由来のユニークなフルーツとスパイスの特徴が折り重なっています。さらに、ハウス酵母を使うと非常にドライな仕上がりになるため、複雑かつ飲みやすいものです。2018年のバージョンは焙煎の特徴が強く、木樽の中でどのように変化するのか興味深いものでした。

14ヶ月間の熟成を経て、ようやくビールは飲みごろになりました。支配的だったロースト風味の大部分は、今ではうま味とダークチョコレートの面白いブレンドに溶け込みました。これほどの長い熟成期間を経て、木樽のウィスキーの特徴はほぼ出きっていますが、同時に木とシェリーのニュアンスも出ています。このビールは木樽に入った時点から複雑なものでしたが、熟成によりさらに豊かになった味わいをぜひお楽しみください!