与謝野産ホップで作るご地愛ビール
コロナウイルス流行によって、2020年初頭からほぼ全ての計画を見直す必要がありました。そして同時に、私たちのごく身近にある京都に貢献するためにもっとすべきことがあると感じました。これが「ご地愛」シリーズの誕生に繋がり、その第二弾として京都与謝野町産ホップを100%使用したセゾン「与謝野de昼寝」をお披露目できることを嬉しく思います。
コラボレーションをすることの意義は多くありますが、その一つに地域の産業を支えるということが挙げられます。2015年、日本のクラフトビール業界のためにホップを育てるということをミッションに、与謝野ホップ生産者組合は起ち上がりました。私たちはこのミッションから感じられる情熱に共感し、これまで敬意を払ってきました。というのも、産業規模でのホップ栽培は大きな初期投資が掛かる上に労働集約的で、さらに生産が始まってしばらくは製品の供給や品質を保証できるものではありません。この点はビール醸造所の設立とよく似ています。私たちは幸運にも過去6年間の内5年はこの与謝野町のフレッシュホップで仕込みができ、毎年特別なビールを作ることが出来ています。今年はこれまでと違い、ビールのスタイルやレシピについても組合の方と一緒に相談しながら造りました。
二つめの意義として、地元の食材や原料を使用するということがあげられます。京都醸造をはじめ世界のほとんどの醸造所で作られるビールに使用される素材の中で、その地域のものは水だけです。モルトは北米やヨーロッパから、ホップは世界各国から輸入、ほとんどの酵母はヨーロッパ起源のものです。はるばる遠方から他人の手を借りて運ばれてきたものを加工する現代の醸造を考えると、京都の醸造所から与謝野のホップ畑まで車で90分飛ばし、自分たちの手でホップを収穫してから醸造所まで戻り、醸造するというのは、信じられないほど特別で有難いことです。
このコラボレーションは、普段私たちが使用する原料を育んでくれている自然を理解する機会だとも考えています。どのようにして複数のホップのつるが1つの根から成長するのか、どのようにして太陽に向かってつるが支柱に巻き付くのか、様々な状態で葉に覆われた毬果がどのように形成されているのか、それらを注意深く観察することで私たちが使っている原料をより深く理解することができます。またこれらのホップを芽を出させ、根を張らせ、毬果まで育て、さらに醸造で使用できる状態に加工し、包装するのに必要なすべての労力をより理解できます。
使用するホップは私たちが畑を訪れた日に収穫できる品種であり、収穫したその日のうちに仕込みに使用します。今回はガレナという品種のみを収穫しました。摘み取ったばかりのホップは苦み成分量を検査することがなく、感覚で使用量を決める必要があります。そういった不確定要素が組み合わさって、特別なビールが出来上がります。
暑い中汗をかきながらホップを摘み取った体験から、このビールのインスピレーションはホップ生産者が涼しくなる時間を待つためのシエスタに添ったものを造るというところから来ています。4.5%のアルコール度数なので、一杯飲んでも仕事が手につかなくなるなんてこともないでしょう。セゾン酵母のドライな仕上がりは喉を潤し、リンゴや梨のような発酵由来の香りが爽やかに広がります。スペルトモルトを少し加えることで、少しコクが生じ、サワーブレッドのような特徴が酵母感とマッチしています。ガレナホップはこのベースとよく合い、グラッシーで甘い果実感を与えてくれています。この特別なビールを皆さんと楽しめることを心待ちにしています!
このビールの収益の一部は、情熱的なミッションに貢献するために組合に寄付されます。
缶のラベルアートは藤原ヒロユキ氏によるものです。