2020年を振り返って - Part1

これまでFacebookInstagramでKBCをフォローしてくださってる方の中にはお気づきの方も多いと思いますが、タップルームからのお知らせ、ビールのリリース情報をのぞいて、新しく何かを投稿する頻度が最近めっきり少なくなってきています。それは、これから数週間に渡っての新しい企てに多くの意識と時間を注いでいるというのがまず理由のひとつとしてあります。そして、それは来る2021年に私たちが成し遂げたいことへと繋がっていきますので、これからゆっくり時間をかけて皆さんにお伝えしたいと思います。

2020年は言わずもがな、感染症が世界中に蔓延し、各地で多くの悲劇を生みました。個人や家庭への影響は計り知れず、社会全体が機能不全に陥る程に深い傷を及ぼし続けています。私たちKBCという一企業にとっても受難の一年でした。深刻な資金繰りの悪化から醸造所を閉めないといけないかもと何度か脳裏をよぎったくらい、本当に厳しい局面がありました。そんな誰しもが厳しい闘いを強いられていた局面に、私たちのことをサポートしてくれた方々には心からの感謝を伝えたいと思います。本当にありがとうございます。

私たちは創業から数年の間に大変有難いことに想定を上回る早さで事業の規模を大きくすることができました。しかし、規模の拡大はそれにかかるコストの拡大でもあり、これまで何度となく長期的な成長の為の大きな試練を経験してきました。特にクラフトビールという流動性が早く、日々状況が変わるような業界において常にリスクと隣合わせの経営ではありましたが、ムクムクと沸き起こるアドレナリンを糧に波に乗り遅れずにやってこれました。しかし、そうした波も只々続くわけではありません。やはり事業というのは、波に乗りながらも次の波を狙い、どんどん新たなステージへと突き進んでいくべきものです。そして、ただ最初の波に乗れたことに浮かれるのはそこそこに、その事業が進みたい、進むべき方向を冷静に決断し、邁進していくことが要求されるものと思います。

そんな事業についての大事な思索や決断を日々の忙しさを理由に先送りにしたツケがまわり、取返しのつかないほどに炎上したのは2020年の春。私たちをこれまでにない試練が襲いました。昨年のKBCの売り上げの97%は「樽」入りのビールによるものでしたが、予期せぬ規模で感染症が拡大し、全国の多くの飲食店が休業状態になったことから、結果として絶望的な売り上げの激減、資金繰りの悪化に陥りました。創業から5年目で16人の従業員を抱え、残った9千万円のローン返済と2千万円の請求書に対し、口座に残った額を数えると「この会社が一体あとどのくらい耐えられるか、、、」と絶望の淵に立たされた気持ちでした。

そんな目を覆いたくなるほどの状況でしたが、こんな時だからこそ今後何が起こっても大事にしていくシンプルな3つのことを決めました。

  • まずは「従業員が安全に働ける環境をつくる」
  • 2つめは、「状況を耐え抜くために今出来ることをする」
  • そして「離職者を出さない」

     この3つです。

それから数週間後には、いくつかの金融機関にあたりKBCが一企業として生き延びるための更なる融資を得、懸命に耐え抜くために出来ることを考え、動き始めました。このシンプルな3つの決断は不安や会社全体を取り巻いていた鬱蒼とした気持ちを一掃し、チームに新たな活力を与え、コロナ禍の状況に対応するだけでなく、KBCの存在意義や本当に成し遂げたいことについての対話を推し進める原動力になったと感じています。ピンチはチャンスとは言い古された言葉ですが、本当に困難にぶち当たった時は、本質をはっきりと捉えられる良い機会になるのかもしれません。

以上のことは、これから数週間にわたって皆さんにお知らせするすべての企ての序章と思って頂ければと思います。そして本編は現在進行形のこともあれば2021年に新たに始動するプロジェクトもあり、各回に一つのトピックを取り上げ、なぜ私たちはその決断に至ったか、というところまで掘り下げてお話していきます。

長文でしたが、ここまで読んでいただきましてありがとうございます。

そして、次回乞うご期待!