いろとりどり DDHインペリアルセゾン編 (Irotoridori DDH Imperial Saison edition)
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Motuekaホップに隠された魅惑的なアロマを解放したインペリアルセゾン
Motuekaはもちろん一般的な製造方法で使うのに優れたホップですが、実はこのホップには秘められた更なる魅力があります。それは、チオールという香り成分が豊富に含まれているということ。では、チオールとは何か? チオールは、ホップに含まれる化合物で、人々と魅了してやまないトロピカルフルーツのようなアロマの元と言われています。Motuekaはじめ人気のあるホップに含まれるチオールは、「フリーチオール」と呼ばれ、比較的容易にビールに取り出すことができ、ホッピーなビールの大きな特長である素晴らしいアロマをビールに与えることができます。一方で、「結合チオール」と呼ばれるものもあり、同様に魅力的なアロマを持っていますが、ホップの中に閉じ込められた状態になっています。それを酵素の力を借りることで、外へ解放させることができるのです。
このセゾンでは、ビールのあらゆる側面でこれらのチオールをフルに活用することにしました。まず、マッシュ(麦汁づくり)では、酵素が結合チオールを活性化します。ここでMotuekaと柑橘やパッションフルーツのアロマが豊富な結合チオールを持つことで知られるカスケードを一緒に使うことにしました。ケトル(煮沸釜)では、さらにMotuekaを使用し、今回はフリーチオールが豊富なモザイクも加えました。また、このビールでは、チオールを強化するため、ぶどうの果皮からつくられる「ファンタズム」も使用し、底抜けにトロピカルな風味をしっかり引き出すことに成功しました。
さらに、発酵途中にバイオトランスフォーメーションを活用したダブルドライホッピングを行うことで、酵母が結合チオールに働きかけ、香り成分を解放するのを助けます。ドライホップには再度Motuekaを使用することで、フリーチオールと結合チオールの両方を活性化しています。1回目のドライホップではアマリロも加え、パッションフルーツやグアバのようなアロマ、ルバーブや柑橘系の香りを引き出します。そして2回目のドライホップでは、再びモザイクを使い、先のチオールががっちりと強調されることを狙いました。
使用した酵母は「Thiol Libre」というフランス産のセゾン酵母で、いずれもホップ内の酵素を活性化し、チオールの可能性を引き出すのに優れています。最後に、このセゾンの基盤を成すのが、柔らかなトフィーとスパイスのモルトキャラクターで、ホップと酵母の相互作用を引き立てます。アルコール度数8%、トロピカルなキャラクターをこれでもかと満載にしたこのセゾンは、これまでに私たちが造ったビール中でも特にユニークで挑戦的なビールの一つです。楽しみながら造ったので、口にする皆さんにもこのウキウキした気持ちが伝わると嬉しいです!