春の気まぐれ 2019 (Haru no Kimagure 2019)

気まぐれシリーズについては、新しい原材料や技術、また、ペールエールやIPAの新しい解釈を試す場にしたいという考えを持っています。今年の「春の気まぐれ」についても同様で、今回のビールでは、伝統的なアメリカンペールエールとモダンなそれとの架け橋を目指したいと考えました。このスタイルは元来、軽くローストした穀物を少量使用することによってもたらされるほのかな甘みと、アメリカンホップに典型的なはっきりとしたシトラス感やグレープフルーツ感とのコンビネーションを楽しむスタイルのビールとして知られてきましたが、現在の考え方としては、ホップのジューシーな香りや風味が好まれ、苦みやモルト感は控えめになってきています。そうした中、今年の「春の気まぐれ」のレシピを思案していて、こんなことを思ったのです。「元祖とモダン、この2つの概念を調和させることはできないだろうか?」

このコンセプトを念頭に置き、今回のビールは、元祖のペールエールと同じような見た目、且つ、同じようなモルトの風味が感じられるようなものでありながら、同時に、柔らかくてフルーティーなホップが好まれているという現在の傾向も取り入れたものにすることを目指しました。そのために、Willamette Valleyのホップ農家である Crosby Hop Farmの伝統的なCホップを100%使用することにしました。今回使用したCascade、Chinook、Centennialといった品種はアメリカの典型的なものですが、それぞれのホップが甘い花のような柔らかい感じをビールにもたらし、Golden PromiseやMunich、Crystal T50といったモルトの甘さとうまく融合してくれました。

というわけで、苦みが控えめでドライな仕上がりとなった今回のビール。風味豊かで、世代を問わずすべてのペールエール好きの皆さんにとって最適な一杯となること請け合いです!

スタイル:
ペール・エール
モルト:
Pilsner, Golden Promise, Crystal T50, Munich
ホップ:
ビタリング - Chinook
味・アロマ - Chinook, Cascade, Centennial
酵母:
American Ale
ABV:
5.5%
IBU:
27
ガスボリューム (炭酸ガス含有量):
2.4