守破離 (Shuhari)
私たちの仕込むホッピーなビールは苦みよりもホップの味わいや香りに主眼を置き、低めのアルコール度数のおかげでゆっくり座ってもう一杯といった気持ちにさせる飲み易いタイプのものが大半を占めます。 ですが、そういったお決まりの枠から外れたビールをつくりたいという思いが時々沸きあがります!
まさにこのビールはそういった類です。伝統的なアメリカンスタイルのダブルIPAであり、ウェストコーストスタイルの典型的なこのスタイルのものと比べると苦みは抑え気味になっていますが、それでも強烈なホップの印象をもつビールをこよなく愛する方々をも満足させるに十分な仕上がりとなっています。今回はSimcoeホップを前面に押し出す形をとっており、使用したホップの実に97%がこのSimcoeであり、そのうちの75%を醸造工程の後半で使用したことによってその香りと味わいを存分に引き出しています。
そして、このビールでもう一つユニークな点はモルトのレシピであり、これもまたSimcoeホップの特徴を楽しめるようにアレンジを加えています。私たちがよくつくるホッピーなビールはベースモルトや小麦、オーツ、といったどちらかというとホップの味わいや香りを邪魔しない”優しくやわらかい”感じの麦芽を使用することが多いです。しかし、そういった麦芽に頼ってしまうと今回のような大量のホップによる苦みや味わいが強烈で主張が強くなりすぎるため、伝統的なアメリカンペールエールに見習って少量のMunich麦芽とクリスタル麦芽をあわせました。これにより、ホップの苦みをしっかりと楽しめるようにモルトが背後から力強く支え、それと同時にSimcoeホップがもつ松やベリー系のフルーティさよりむしろトロピカル系の香りが楽しめるような甘みをモルトがもたらしています。
KBCホップ爆弾系ビールの新しい表現をぜひ感じてください!
名前の由来: 「曙」以来、今年に入って2つ目のダブルIPAが出来た。今回はIPAホップの代名詞とも称されるシムコーをふんだんに使った、教科書的なダブルIPA。もしかするとKBCらしくないと思われるほどに型通りで上々な仕上がりだ。「手本にした型はいつしか打ち破り、やがて離れていくものだが、基本を忘れてはならない」という守破離の言葉が頭に浮かび、今回のビールの名とした。
スタイル: ダブルIPA
- モルト:
- Pilsner, Golden Promise, Crystal T50, Munich
- ホップ:
- ビタリング - Columbus
- 味・アロマ - Simcoe
酵母: American Ale
ABV: 8.5%
IBU: 45
ガスボリューム (炭酸ガス含有量): 2.4